まあまあ
1905年、ルイ・フイヤードは世界最初の女性監督アリス・ギイの脚本担当としてゴーモンに入社し、翌年には監督となりました。
初め追っかけ喜劇を撮って好評を博していた彼の転機となったのは、『ファントマ』5部作を世に放って、連続活劇のブームを作った13年。
そして、よりスケールアップした新シリーズを開始します。
15年から翌年にかけて発表された『ドラルー』10部作がそれです。
全篇で8時間24分にもなる怪物的な大長篇で、一篇が短いもので17分、長いものでは1時間強もあり、実に想像力をかきたてられる題名がついています。
「第一篇・切られた首」
「第二篇・人を殺す指輪」
「第三篇・赤い暗号文」
「第四篇・幽霊」
「第五篇・死者の逃亡」
「第六篇・魅惑する眼」
「第七篇・サタン」
「第八篇・雷の支配者」
「第九篇・毒の男」
「第十篇・血塗られた婚礼」
『ドラルー』の各篇は、それぞれがパリという街に巣食う陰謀と妄想の網の目の一片といえます。
新聞記者フィリップが相棒のマザメットとともに、"吸血団"という犯罪組織と闘うというのが物語の骨子になっています。
吸血団の首領は、医者や貴族など様々な変装で登場する大吸血鬼。
第一篇はドクター・ノックスの館を訪ねたアメリカ人富豪シンプソン夫人の宝石の盗難事件を軸に、額縁の裏の隠し戸から刑事の首の入った箱が見つかるまでの話です。
秘密の抜け穴から脱出した黒装束の大吸血鬼がパリの屋根を歩き、壁を伝って降りてくるのをパンで追ったラストの画面に、都市の暗黒面の奇妙な魅力が放たれます。
