おーさみしもー!
門の扉が開かれて、人々がぞろぞろと出てきます。
女も男も。
自転車の男が登場します。
犬も一瞬現れます。
総勢30~40人といったところでしょうか。
映写時間にして1分足らず・・・これが1895年12月28日、パリのキャピシーヌ街のグラン・カフェの地下室ロン・アンディアンで公開された〃シマトグラフ・リュミエール"。
いわゆる"最初の映画"の1本、『リュミエール工場の出口』です。
被写体となったのは、リュミエール一家がリヨンで経営していた写真製品の工場で働いていた人々です。
もちろん字幕などあるはずはなく、『工場の出口』といっても、便宜的で慣習的なタイトルなのでしょう。
もし朝の出勤時間に撮影されたのであれば、ここから人々がぞろぞろと中へ入って行く光景が記録されたはずです。
しかし、それでは絵にならないと、撮影者(多分ルイ・"弟"リュミエール)は判断したのでしょう。
わたしたちは"最初の映画"に既に単なる実写ではない、何らかの演出意図を察知しなければなりません。
事実、今日では、『工場の出口』には、この年撮影された3つの版があったことが知られており、わたしたちが通常目にしていた『工場の出口』は、実は3本目の『工場の告』であると考えられています。
撮影者は、この出口が入口でなく、出口として機能していることに、こだわっていたのです。

