えすとぅぺんど! その2
この映画のスキャンダラスな内容は、慇懃さの裏に隠された残忍な本性といった、黄色人種に対する差別的なイメージを露骨に体現しています。
そのために日本では、この作品は"国辱映画"として公開されなかったのです。
主演の早川雪洲にも非難の声が浴びせられました。

しかし、そうした悪役を演じる早川は、持ち前の端正なマスクと神秘的なムードによって、(特に女性)観客に絶大な人気を博し、ハリウッドで活躍する初の日本人スターとして、その後も多数の映画に出演することになりました。
さらに、この作品の反響は単にセンセーショナルな話題性や、エキゾチックなセックス・アピールの域にとどまりませんでした。
当時のアメリカ人俳優とは明らかに異なる、早川の抑制された表情や演技。
また、明暗を活かしたすぐれた撮影手法・・・。
主人公が焼きゴテを熱する際に、火鉢に息を吹きかけ、その炎の明かりで彼の顔が暗闇に浮かび上がるといった演出は今見ても秀逸です。
これらを通じて、映画芸術を大きく前進させたとして、特に当時のフランスで、批評的にもきわめて高く評価されたのです。
